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iPhoneを水没させてしまった時の対処法や確認事項とは?応急処置や修理費用について
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iPhoneを濡らしてしまった・水の中に落としてしまった時に慌ててはいけません。
正しい対処法をすれば、iPhoneが水没により故障する可能性を軽減できるでしょう。
また耐水機能を備えたiPhoneだからと言って「水没させても問題ない」と考えるのは危険です。
防水のiPhoneも濡れた後に誤った対処をすると、故障するリスクが存在します。
この記事では、iPhoneを水没させてしまった後の正しい対処法と注意点をまとめました。
Contents
iPhoneの耐水性能は、IP等級によって明らかになっています。
IP等級とは、電子機器や電化製品が水・塵などの異物の侵入から保護されているレベルを示す国際規格(IEC60529)であり、数値から防水性能・防塵性能の両方を確認できます。
IP等級の耐水性能の基準は、以下を参考にしてください。
第二特性数字 | 保護の程度 | テスト方法 |
---|---|---|
0 | 水の侵入に対して特には保護されていない | テストなし |
1 | 垂直に落ちてくる水滴によって有害な影響を受けない | 200mmの高さより 3〜5mm/分の水滴、10分 |
2 | 垂直より左右15°以内からの降雨によって有害な影響を受けない | 200mmの高さより15°の範囲 3〜5mm/分の水滴、10分 |
3 | 垂直より左右60°以内からの降雨によって有害な影響を受けない | 200mmの高さより60°の範囲 10L/分の水滴、10分 |
4 | いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない | 300〜500mmの高さより全方向に10L/分の放水、10分 |
5 | いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない | 3mの距離から全方向に12.5L/分・30kpaの噴流水、3分間 |
6 | いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない | 3mの距離から全方向に100L/分・100kpaの噴流水、3分間 |
7 | 規定の圧力、時間で水中に没しても水が侵入しない | 水面下15m〜1m、30分間 |
8 | 水面下での使用が可能 | メーカーと機器の使用者間の取り決めによる |
耐水性能の第二特性数字はIP◯0〜IP◯8のように末尾に記載されている数字であり、iPhone7以降のiPhoneはIP67またはIP68で評価されています。
第二特性数字は防塵性能を示す0〜6段階表記です。
iPhoneの防塵性能6は最も高い防塵性が確保されている状態を意味します。そのため、iPhoneは非常に高度な防塵性能と耐水性能を維持していると言えるでしょう。
iPhoneはIP等級で設定された基準の他に、機種ごとに以下のような耐水性能を備えています。
機種 | IP等級 | 耐水性能 |
---|---|---|
iPhone 16シリーズ iPhone 15シリーズ iPhone 14シリーズ iPhone 13シリーズ iPhone 12シリーズ | IP等級68 | 水深6mまで、最大30分間の耐水性能 |
iPhone11Pro iPhone11Pro Max | IP等級68 | 水深4mまで、最大30分間の耐水性能 |
iPhone11 iPhone XS iPhone XS Max | IP等級68 | 水深2mまで、最大30分間の耐水性能 |
iPhone SE3(第3世代) iPhone SE3(第2世代) iPhone XR iPhone X iPhone8/8Plus iPhone7/7Plus | IP等級67 | 水深1mまで、最大30分間の耐水性能 |
ただし、iPhoneに限らずデバイスは使用しているうちに本来所持していたはずの性能が下がっていくものです。
経年劣化や破損・傷が原因で、耐水性能が大きく低下する可能性もあるのです。
上記のような耐水性能を備えているからといって、iPhoneを浸水させることは避けましょう。
iPhoneを濡らしてしまった・水に落としてしまった時には、すぐに以下のような対処をしてください。
水没の応急処置は、迅速な対応をとることが大切です。
対応が遅れるほど、故障のリスクが高くなります。
まずは、iPhoneの電源を切ってください。
iPhone内部に水が侵入した状態で通電していると、内部で基盤がショートする可能性があるためです。
iPhoneの電源は、本体が完全に乾くまで入れないようにしましょう。
万が一、iPhoneの基盤がショートすると、修理費が高額になる・データ修復が不可能になるリスクが上がります。
iPhoneの電源を切った後に、本体についている水分を丁寧に拭き取ります。
同時に、iPhoneケースなどアクセサリーを全て取り除いてください。
特に水分が溜まりやすい充電コネクタ部分は、挿入口を下にして優しく手の上でトントンと叩きながら水分を排出させます。
この際、iPhoneを強く振ってはいけません。
専用のピンを用いて、iPhoneからSIMカードを取り出します。
SIMカードやSIMカード挿入部分が濡れている場合には、丁寧に水分を拭き取ってください。
SIMカード・SIMカード挿入口には尖ったパーツもあるため、触れる際にパーツを傷つけないように注意する必要があります。
風通しの良い場所にiPhoneを置いて自然乾燥させます。
具体的には24時間程度の時間をかけて、しっかり本体を乾燥させましょう。
公式サイトでは、「水没したiPhoneの乾燥には最長で24時間必要である」と提示しています。
十分に乾燥できていない状態でiPhoneの電源を入れたり充電をしたりすると、ショートしてしまう可能性があるでしょう。
最後に、iPhoneの状態を確認した上でiPhone修理点に検査を依頼することをおすすめします。
次の章でiPhoneが水没していないか確認する方法を説明しますが、プロに状態をチェックしてもらえば、安心してiPhoneを使い続けられるでしょう。
iPhoneを水没させてしまったかもしれない時に、iPhoneに損傷がないかどうか確認するためには、以下の方法が有効です。
最初に先ほど確認したiPhoneを水没させてしまった時の対処法を速やかに実施し、その後iPhoneの状態を確認してください。
不安を感じる時には、修理店にiPhoneを持ち込んで水没の有無を確認してもらっても良いでしょう。
水没により損傷したiPhoneは、電源が入らなくなるケースが多いです。
具体的には、バッテリーから本体まで電力を供給する役割を持つコネクタが水によってショートし、正常に動かなくなっています。
その他にも、iPhoneの核と言えるマザーボードの部品が錆びついて、電源が入らなくなることもあります。
2006年以降に製造されたiPhoneには液体侵入インジケータ(LCI)が搭載されています。
インジケータはSIMカードスロット内側に存在します。機種によって正確な位置が異なるため、事前に確認しておきましょう。
本来、液体侵入インジケータは白色またはシルバーですが、iPhoneが水没すると赤く変色します。
液体侵入インジケータをチェックして赤色に変色している場合には、水分がiPhone内部に侵入してしまった事実を確認できます。
iPhoneが水没によりダメージを受けた時には、以下のような不具合が現れるケースが多いです。
iPhoneを濡らしてしまった後に以下のような不具合が出る場合には、バックアップを確認して本体修理を依頼するべきです。
iPhoneの電源が入らない・Appleのロゴは表示されるが再起動を繰り返す状態になると、何も操作ができません。
水没が原因で、電源機能に異常が起こっているのです。
iPhoneが水没して本体に問題が起こると、ディスプレイに異常が現れる可能性があります。
iPhoneのディスプレイは複数のガラス板や変光板を重ねて作られており、隙間に水滴が入ることで輝度を調整できなくなってしまうのです。
iPhoneが正常に動いていても、本体が熱くなる状態を放置してはいけません。
水没のせいでiPhoneの熱が高くなる状態は、iPhone内で電気が正常に流れなくなったことで発生します。
iPhoneの温度が上がりすぎると、バッテリーが着火して大事故につながる可能性があるでしょう。
iPhoneの内蔵カメラに水が侵入すると、レンズが機能しない・フロントカメラが曇るなどの問題が起こります。
フロントカメラは水没ではなく多湿空間に置いておくだけで、似た状態になる可能性があるでしょう。
カメラのみの浸水を放置して使い続けた場合、より広い範囲に水が侵入する可能性が考えられます。
水没によるハードウェアが損傷すると、iPhoneに保存していたデータが消えてしまいます。
クラウド保存済みのデータは復旧できますが、本体にしか保存していないデータの復旧は非常に難しいと考えてください。
水没が原因で、iPhoneのサウンド機能に問題が出るケースもあります。
音が聞こえなくなる・ノイズが混じる場合には、水没の可能性を疑いましょう。
また、この状態を放置すると、水滴が音の振動によってiPhone内部に浸透するリスクが上がります。
iPhoneのコネクタ部分が濡れた状態になると、「Lightningコネクタで液体が検出されました。コネクタを乾かすために接続を外してください。乾燥に数時間かかる場合があります。」という警告が表示されます。
この警告を無視して充電をすると、通電によってiPhoneが故障するリスクが高まるでしょう。
ただし、故障またはバッテリー切れのせいで電源が入らない状態では、警告表示を確認できません。
【合わせて読みたい記事】
水分によって濡れてしまったiPhoneを使い続けると、次のような問題が起こる可能性があります。
iPhoneを濡らしてしまった後、電源を入れて問題なく使用できたとしても、しばらくしてから突然iPhoneが動かなくなる可能性があります。
なぜなら、水没したiPhoneの内部に水滴が侵入し、時間が経過してから深刻なダメージが現れるケースも多いのです。
iPhoneの内部に水が侵入した状態を放置すると、基盤の錆・ショート・腐食によってiPhoneが故障するリスクが存在します。
基盤の故障修理には多くの費用が必要であり、修理不能な状態に陥る可能性も考えられるのです。
特に、水ではなく飲み物・海水・調味料などがiPhone内部に侵入した場合には注意が必要です。
水没したiPhoneはAppleの正規サービス・携帯会社・iPhone修理店に修理を依頼できます。
サポートサービスの加入の有無など自分の状況に合わせて、最適な修理先を決めてください。
Appleの正規サービスとはAppleの修理拠点を指し、Apple公式サイトで検索できます。
Appleの正規サービスでは公式サポートを受けられるというメリットがありますが、修理に時間がかかる場合が多い・修理に出したiPhoneは初期化されてしまう・Apple Care+に加入していない方は修理費用が高額になるというデメリットが存在します。
契約している携帯会社に修理サービスが用意されている場合もあります。
携帯会社はAppleの修理を取り継ぐため、公式のサービスを受けられます。
ただし、修理に時間がかかるなどのデメリットは正規サービスを使うケースと同様です。
携帯会社独自のサポートサービスに加入している方は、修理費用を抑えられる可能性があります。
iPhone修理店とは、街中にある非正規のお店を指します。
iPhone修理店では、短時間かつ手頃な料金で修理を完結できるケースが多く、データを消去せずに済むことが多いでしょう。
すぐにiPhoneの問題を解消したい方におすすめですが、修理ではApple純正の部品以外を使います。
そのため、非正規のお店で修理をした後は、Apple Care+を使えなくなる可能性があることを知っておいてください。
iPhoneの水没修理にかかる費用の相場はApple正規サービス・携帯会社で10万円前後、iPhone修理店で1万円前後です。
費用のみで考えるのではなく、それぞれのサービスのメリット・デメリットを把握しておきましょう。
また、Apple Care+や携帯会社のサポートサービスに加入している場合には、修理に必要な費用が変わります。
iPhoneに何らかの不具合が発生した時には、まず加入済みのサービスはないか確認してみてください。
iPhoneが水没した後に、次のような行動をとってはいけません。
結果的に、iPhoneに致命的なダメージを与えてしまう可能性があるでしょう。
iPhoneを水没させてしまった後、問題なく動作するからという理由で何もしないことは避けましょう。
現段階で不具合が出ていない場合でも、iPhone内部で浸水が進んでいるケースもあるのです。
iPhoneを水没させてしまった後には、本体の電源を落としアクセサリーやSIMカードを取り外して、しっかり自然乾燥させてから電源を入れるようにしてください。
自然乾燥ができていないiPhoneを充電すると、通電により故障してしまう可能性があります。乾燥すれば問題なく使用できたであろうiPhoneが、壊れてしまうということです。
水没したiPhoneは、1日程度自然乾燥させてから充電してください。
iPhoneをワイヤレス充電可能な場合でも、ショートするリスクがあります。
iPhoneは自然乾燥しなければいけません。
早く乾かしたいと考え、ドライヤーや電子レンジなどでiPhoneに熱を加えた結果、本体故障につながる可能性があるでしょう。
また、冷風であれば問題ないと考える方もいるようですが、Appleはエアダスターの活用も推奨していません。
iPhoneを、何らかの道具を使って乾かそうと考えることはやめておきましょう。
iPhoneから水分を出そうと考えて、水没直後にiPhoneを振ってはいけません。
水分の付着箇所が広がり故障につながる可能性があるためです。
コネクタ部分の水分を取り除く時にも、本体を強く振らないように優しく手のひらの上でトントンと動かしてください。
水没によるiPhoneの故障リスクを少なくするためには、普段からiPhoneが濡れにくい状態を意識することが大切です。
この章では、iPhoneの水没を予防する方法を紹介します。
普段から水没に注意して、iPhoneの故障リスクを下げましょう。
iPhone用の防水アイテムには、防水スマホケース・防水シールなどがあります。
防水スマホケースには、通常のスマホケースのような形状のハードタイプの他に、ポシェットのように首から下げられる形状のソフトタイプも流通しているため、使いやすいものを選びましょう。
また、防水シールはiPhone本体に直接貼り付けて使う防水アイテムです。
防水スマホケースと比較すると防水性は下がりますが、iPhoneの使い勝手や見た目を変化させずに防水対策ができるでしょう。
防水シールは貼り付け作業が難しいため、修理店などに貼り付けを依頼すると良いです。
「iPhoneを落としてしまう」ことで、iPhoneが水没する・落下により故障する問題を防ぐために、スマホリングを取り付けるという手もあります。
スマホリングはスマホスタンドとしても活用できる商品が多く、デザイン・素材も豊富です。
iPhone本体の背面に貼り付けるタイプ・ストラップの先にリングがついているタイプがあるため、自分が使いやすいものを選びましょう。
iPhone7以前のモデルを使っている方は、耐水性能が高い最新のiPhoneに買い換えるのも良いでしょう。
iPhone12以降のモデルであれば、水深6mの水に30分間浸しても水が侵入しないレベルの耐水性を備えています。
ただし、条件によっては必ずしも水没しないとは限らないことから、iPhoneの耐水性を過信してはいけません。
このように、iPhoneは浸水させないように意識して使うべきですが、万が一のトラブル発生時に耐水性の高さが役立つ可能性があるでしょう。
iPhoneが水没してしまった時・故障してしまった時のリスクに備え、普段からバックアップをとっておく習慣をつけましょう。
iPhoneはさまざまな方法でバックアップをとれますが、iCloudを活用すれば簡単にiPhoneのデータをクラウド保存可能です。
さらに、iCloudは5GBまでの容量を無料で使用できるのです。
バックアップ済みのデータがあれば、水没などが原因でiPhoneを修復不可能な場合・修理によってiPhoneが初期化されてしまった場合でも、すぐにデータを取り戻せます。
iPhoneを水に水没させてしまった場合、正しい対処により故障を防げる可能性が高いです。
しかし、iPhoneを飲み物で濡らす・海や泥水に落とした場合には、真水以外の成分が含まれており、乾かしても何らかの成分が本体内に残ってしまうケースがあります。
水以外の液体にiPhoneを水没させてしまった時には、iPhoneを真水で洗い流してから乾燥させた方が良いでしょう。
また、水以外の液体による水没は故障リスクが上がるため、可能な限り早く修理を依頼する・プロに状況を確認してもらうことが大切です。
近隣に修理店がある場合には、iPhoneが乾くのを待たず相談に行くことをおすすめします。
iPhoneを水没させてしまった時には、慌てずに迅速に電源を切り、水分を拭き取る・アクセサリーやSIMカードを取り除いてしっかり自然乾燥させてください。
ドライヤーなど誤った方法でiPhoneを乾かそうとすると、本体にダメージを与えてしまう可能性があります。
また、大半のiPhoneは高い耐水性を備えていますが、必ずしも水没しないとは考えず、普段からバックアップをとりiPhoneを濡らさないように使うことが大切です。
この記事を参考に、水没してしまったiPhoneの応急処置方法を把握しておきましょう。
いざという時に正しい対処ができれば、iPhoneが故障してしまう可能性を減らせます。
株式会社GO REPAIR 代表 森井優介
5年以上スマホ修理業界に従事する中で、スマホのプロが日本全国誰の近くにもいる社会を作りたいと考え、ゴーリペア設立。
さらにスマートフォンのプロをより身近に増やすことで、修理はもちろんのこと「もっと快適に使えるように」「大きなトラブルにならないように」したいという想いから、スマホ修理資格の確立したGOリペア協会の代表も兼務しており、スマホ修理業界をけん引している。