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iPhone12が水没した時の対処法|応急処置と修理方法を解説

iPhone12が水没した時の対処法|応急処置と修理方法を解説

iPhone12シリーズは、従来のモデルよりも高い耐水性能を備えています。

しかし一方で「iPhone12は防水だから大丈夫だと思っていたのに、画面がおかしくなった…」「お風呂に落としてしまってから調子が悪くなった…」などと言う声もよく聞きます。

結論から申し上げると、「iPhone12には完全な防水機能がありません」。

そのため、水没した直後の対応ひとつで中のデータが救えるか、あるいは二度と起動しない鉄の塊になってしまうかが決まります。

本記事では、プロの修理現場の視点から、iPhone12が水没した際に「絶対にやってはいけないこと」と「今すぐやるべき応急処置」や「故障した際の修理方法」などを詳しく解説します。

iPhone12の「耐水性能」とは

iPhone12を語る上で避けて通れないのが「IP68」という規格です。

Appleは公式に「水深6メートルで最大30分間の耐水性」を謳っています。

しかし、ここにはユーザーが誤解しやすい「罠」がいくつか存在します。

「防水」ではなく「耐水」である理由

多くの人が「防水=水が入らない」と考えがちですが、スマートフォンの世界では「耐水(Water Resistant)」という言葉が使われます。

これは、「特定の条件下において、一時的に水の侵入を防ぐ」という意味であり、完全に水に耐えることができることを保証するものではありません。

特にiPhone12の場合、画面と本体の隙間を埋めているのは「粘着テープ(ガスケット)」です。

このテープは以下のような要因で容易に劣化します。

劣化の種類特徴
経年劣化購入から1年、2年と経過するうちに、ゴム状のパッキンは硬化し粘着力が弱まります。
温度変化お風呂場での使用は最悪となり、急激な温度変化により内部で結露が発生したり、熱で粘着剤が溶け出したりします。
物理的衝撃一度でも落としたことがある端末は、目に見えないレベルでフレームが歪んでおり、そこから水が吸い込まれるように侵入します。

常温の「真水」以外は想定外

IP規格のテストは、基本的に「不純物のない常温の真水」で行われます。

私たちが日常生活で遭遇する以下の水分は、すべてiPhone12の天敵です。

液体の種類特徴
海水塩分が基板を一瞬で腐食させます。
プールの水消毒用の塩素がパッキンを激しく劣化させます。
お風呂の水入浴剤の成分や石鹸カスが表面張力を失わせ、内部へ侵入しやすくします。
ジュース・お酒糖分や酸が乾燥後にこびりつき、ボタンの故障や基板のショートを引き起こします。

水没時に絶対にやってはいけない「5つのタブー」

水没時に絶対にやってはいけない「5つのタブー」

水没した直後、焦って行ってしまう「良かれと思った行動」が、実はiPhone12の寿命を縮めています。

修理店に持ち込まれる故障機のうち、かなりの割合がこの「間違った応急処置」によってトドメを刺されています。

具体的なタブーを詳しく見ていきましょう。

①電源を入れる・操作を続ける

画面がついていると、つい「大丈夫かな?」とSNSを開いたり、操作を確認したくなります。

しかし、内部に水がある状態で電気を流すと、基板上の回路が「ショート(短絡)」します。

これは、濡れた手でコンセントを触るようなもので非常にリスクがある行為です。

一瞬の通電で、データが格納されているストレージのチップが焼き切れてしまうこともあります。

②本体を激しく振る

「本体の隙間から入った水を振り出したい」という心理はわかります。

しかし、iPhone12の内部は非常に密閉性が高く、振った程度で水は出てきません。

むしろ、入り口付近にあった水滴を、最も壊れやすい「Face IDセンサー」や「カメラユニット」の奥深くまで押し広げてしまう結果になります。

③ドライヤーで加熱乾燥させる

「熱で蒸発させればいい」という考えは非常に危険です。

安易に加熱させてしまうと、以下のようなトラブルが発生します。

トラブル例故障内容
基板へのダメージ精密チップは熱に弱く、ドライヤーの熱風で変形・故障します。
パッキンの融解耐水パッキンが熱で溶け、さらに水の侵入を許すことになります。
湿気の閉じ込め表面だけ乾いても、内部の水分は「蒸気」となってさらに広範囲へ行き渡り、冷えた時に再び水滴となって基板を襲います。

④充電ケーブルを差し込む

水没した端末に充電器を繋ぐのは、火に油を注ぐようなものです。

充電コネクタ(Lightning端子)付近は電圧が高く、濡れた状態で通電させると、端子が真っ黒に焦げ付いたり、バッテリーが異常発熱して発火するリスクすらあります。

⑤ネットで話題の「生米に入れる」

昔から言われている方法で一定の効果はあるかもしれませんが、iPhone12においてはメリットよりもデメリットが目立ちます。

米の細かな粉塵が充電ポートやスピーカーの穴に入り込み、故障の原因になります。

米の吸湿力では、密閉されたiPhone内部の水分まで吸い出すには不十分です。

プロの修理現場では、この方法はおすすめしていません。

命運を分ける今すぐ実践すべき応急処置方法

命運を分ける今すぐ実践すべき応急処置方法

水に落としたら、1秒でも早く以下の手順を行ってください。

手順1:即座に電源を切る

もし画面がついているなら、すぐに電源をオフにしてください。

これにより、基板がショートするリスクを最小限に抑えられます。

手順2:アクセサリーとSIMカードを外す

SIMピンを使ってSIMカードを抜いて、ケースと本体の間に溜まった水分を取り除きます。

ここを開けることで、内部の湿気がわずかに逃げやすくなり、SIMカード自体の腐食も防げます。

手順3:表面の水分を徹底的に拭き取る

清潔なタオルや、吸水性の高いマイクロファイバークロスで外側の水分を丁寧に拭き取ります。

充電端子(Lightningポート)やスピーカー部分は、こより状にしたティッシュで優しく水分を吸わせてください。

手順4:乾燥剤とともに密閉する(一時しのぎ)

ジップロックなどの密閉袋に、iPhoneと大量の乾燥剤(シリカゲル)を入れます。

※先にも挙げましたが「生米と一緒に保管する」方法は、米の粉塵がポートに入り込んで故障の原因になるため、プロの視点からはあまり推奨しません。

あくまで乾燥剤がない場合の最終手段と考えてください。

iPhone12が水没したときに出る「危険なサイン」

iPhone12が水没したときに出る「危険なサイン」

「水に落としたけれど、普通に動いているから大丈夫」と安心するのはまだ早いです。iPhone12の内部に水が侵入した場合、時間差で恐ろしい症状が現れ始めます。

ここでは、修理を急ぐべき末期症状のサインを解説します。

画面(ディスプレイ)の異常

iPhone12シリーズは非常に美しい「OLED(有機EL)」を採用していますが、このパネルは水分に対して極めて繊細です。

ディスプレイ症状故障内容
緑色の線やノイズが入る内部のコネクタがショートしている証拠です。
画面が一部暗いまたはチカチカするバックライト回路(または発光素子自体)にダメージがあります。
ゴーストタッチ操作していないのに勝手にアプリが開いたり、文字が入力されたりします。
これは非常に危険で、パスコードを勝手に入力されて「iPhoneは使用できません」というロックがかかってしまうリスクがあります。

Face ID(顔認証)が使えなくなる

iPhone12の中で最も水に弱いパーツの一つが、インカメラ付近にある「TrueDepthカメラ」(顔認証「Face ID」の中枢システムのこと)です。

ここがわずかに濡れるだけで、「Face IDをアクティベートできません」というエラーが表示されます。

このパーツはApple独自のペアリングがなされているため、一度壊れると通常の修理店では修理が非常に困難(または不可能)な部位です。

水没直後にFace IDが効かなくなったら、重症だと判断してください。

リンゴループ(起動障害)

電源を入れようとしても、Appleのロゴマーク(リンゴ)が出ては消え、を繰り返す状態です。

これは内部パーツのどこかがショートし、システムが正常に立ち上がれないことを示しています。

特に「近接センサー」というパーツが水没すると、この症状が頻発します。

iPhone12修理の選択肢:正規店 vs 街の修理店

いざ修理に出そうと思ったとき、多くの人が迷うのが「どこへ持っていくか」です。

それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

Apple正規店(Apple Store)

メリット・確実に純正の新品(または整備済製品)と交換してもらえる。
・AppleCare+に加入していれば、12,900円という安価で「本体交換」ができる。
デメリット・データは100%消える:「本体交換」になるため、バックアップがないデータは諦めるしかありません。
・予約が取れない:週末などは数日先まで予約が埋まっていることが多く、その間に腐食が進行します。
・未加入だと高額:保証がない場合、6万円〜8万円近い修理費用(交換費用)がかかることがあります。

街の修理店(総務省登録修理業者)

メリット・データを残せる可能性が高い:基板の洗浄やパーツ交換のみを行うため、データ領域には触れません。
・即日対応:飛び込みでもすぐに対応してもらえることが多く、腐食が進む前に処置が可能です。
・必要な箇所だけ修理:画面だけ、バッテリーだけ、といった部分修理が可能なため、トータルコストを抑えられる場合があります。
デメリット以降、Appleの公式サポートや下取りサービスが受けられなくなる可能性がある。
業者の技術力に差がある(※必ず「総務省登録修理業者」を選ぶことが重要です)。

まとめ:水没は「時間との勝負」です

iPhone12が水没した際、最もやってはいけないのは「乾いたと思って使い続けること」です。

内部に入った水は、たとえ真水であっても数時間で基板を腐食(サビ)させ始めます。

水が乾いた後には不純物が残り、それが原因で突然死を招くのです。

もし大切な写真や連絡先、アプリのデータがバックアップできていないのなら、一刻も早く専門の修理店へ相談してください。

「スマホレスキュー ゴーリペア」では、高度な技術と精密な診断で、水没したiPhoneの復旧をサポートしています。

手遅れになる前に、まずは現在の状況をお聞かせください。

よくあるご質問

iPhone12は防水仕様ですか?水に落としても大丈夫ですか?

iPhone12は「防水」ではなく「耐水(Water Resistant)」です。Apple公式はIP68規格として「水深6メートルで最大30分間の耐水性」を謳っていますが、特定条件下での一時的な保護であり、完全な耐水を保証するものではありません。

以下のような要因で耐水性能は低下します。

  • 経年劣化:本体内部のガスケット(粘着テープ)は時間とともに硬化・劣化します。
  • 温度変化:お風呂場での使用は急激な温度変化により結露や粘着剤の溶解を招きます。
  • 落下の衝撃:目に見えないフレームの歪みから水が侵入することがあります。

また、IP規格のテストは「不純物のない常温の真水」で行われるため、海水・プール・お風呂・ジュースなどはすべて想定外の液体となります。

水没したとき、絶対にやってはいけないことはありますか?

水没直後に「良かれ」と思ってやりがちな行動が、端末のダメージをさらに悪化させます。以下の5つのタブーは絶対に避けてください。

やってはいけないこと 理由
電源を入れる・操作を続ける 内部に水がある状態で通電すると基板がショートし、データチップが焼き切れる恐れがあります。
本体を激しく振る 水滴をFace IDセンサーやカメラユニットの奥まで押し広げてしまいます。
ドライヤーで乾燥させる 熱で精密チップやパッキンが損傷し、内部に蒸気として広がります。
充電ケーブルを差し込む 濡れた端子への通電は焦げ付きや発火リスクを招きます。
生米に入れる 米の粉塵がポートに詰まり、吸湿力も内部の水分を除去するには不十分です。

修理店に持ち込まれる故障機のかなりの割合が、これらの「間違った応急処置」によってダメージが悪化しています。

水没後の正しい応急処置と、修理はどこに持っていけばよいですか?

水に落とした直後は、以下の手順を速やかに行ってください。

  1. 画面がついていれば即座に電源をオフにする。
  2. SIMカードとケースを外し、隙間に溜まった水分を取り除く。
  3. マイクロファイバークロスで外側を丁寧に拭き、充電端子はこより状のティッシュで吸い取る。
  4. シリカゲル(乾燥剤)とともに密閉袋に入れて保管する。

修理先の選択肢は大きく2つあります。

修理先 メリット デメリット
Apple正規店 純正品での確実な交換。AppleCare+加入なら12,900円で本体交換可能。 データは消える。予約が取れないことが多く、その間に腐食が進行するリスクがある。
街の修理店(総務省登録) データを残せる可能性が高く、即日対応・部分修理が可能。 技術力に差があるため、必ず総務省登録業者を選ぶことが重要。

水没後は時間が経つほど基板の腐食が進むため、できる限り早く専門店へ相談することをおすすめします。

この記事の監修者

出張スマホ修理会社の株式会社GOREPAIR代表「森井」

株式会社GO REPAIR 代表 森井優介

5年以上スマホ修理業界に従事する中で、スマホのプロが日本全国誰の近くにもいる社会を作りたいと考え、ゴーリペアを設立。
さらにスマートフォンのプロをより身近に増やすことで、修理はもちろんのこと「もっと快適に使えるように」「大きなトラブルにならないように」したいという想いから、スマホ修理資格の確立したスマホリペアアカデミーの代表も兼務しており、スマホ修理業界をけん引している。